※本記事は三枝由香利が監修しています。
語学力の向上を目的とした留学において、学校選びと同じく、あるいはそれ以上に重要なことは、「どこに住むか」ということです。
考えてみれば、学校にいる時間よりも家に時間の方が長いわけですから、当然といえば当然です。
長時間を過ごすことになる家で、英語での良質で濃密なコミュニケーションをとることができるかどうかによって、留学が成功するか、はたまた失敗に終わってしまうのか、留学の成果は大きく左右されます。
人気のある選択肢のひとつにホームステイがありますが、以下では、留学を成功させるために絶対に知っておくべきホームステイに関する3つのことについて、わかりやすく説明します。
この記事が、留学成功の秘訣になれば幸いです。
ホームステイとは?
まず、そもそもホームステイとは何でしょうか?
ホームステイとは、留学生が、留学先の地域の家庭に寄宿(他人の家に身を寄せること)することをいいます。
そして、寄宿先の家庭のことをホストファミリーといいます。
たまに、「ホームステイと留学の違いは何ですか?」という質問を頂くことがあるのですが、ホームステイは留学と比べるものでなく、留学の際に現地で暮らすための手法のひとつです。
勿論、留学の場合だけでなく、例えば、ワーキングホリデーやボランティア活動のために海外に来て、その際のホームステイを利用するということもできます。
留学・ワーキングホリデー・ボランティア等が目的で、ホームステイ・寮・シェアハウス等が(住むための)方法というように整理できます。
留学の際はホームステイすべき?寮との比較
それでは、留学の際は、ホームステイすべきなのでしょうか?
ホームステイすべきかどうかを検討するにあたっては、ホームステイ以外の選択肢として、どういうものがあるのかを知り、さらに、それぞれのメリットとデメリットについて知る必要があるでしょう。
ホームステイ以外の選択肢としては、学生寮が挙げられます。
学生寮とは、学校が学生のために用意する、大勢で住むための住居のことです。
一人部屋の場合と、相部屋の場合とがあります。
それ以外の選択肢としては、シェアハウスやアパートがありますが、これらは、現地に行って3か月程度経って、現地のことがよくわかってからの方がよいでしょう。
初めは、ホームステイと寮を検討すべきでしょう。
もっとも、寮がない語学学校も多いので、寮を希望する場合は、寮がある語学学校を選ばなければなりません(語学学校が寮を持っていなくても、レジデンスと呼ばれる現地の学生から留学生、旅行者、ビジネスマンまで様々な人が泊まる寮を紹介されることもあります。このような民間の寮は、自分で手配することもできます。)。
それでは、次の5つの項目について、ホームステイの場合と学生寮の場合を比較します。
- 語学力の向上
- 安全性
- 異文化体験
- 生活の快適さ
- 交通の便
- 費用
(1)語学力の向上の観点からのホームステイと寮との比較
留学の目的は人それぞれですが、語学留学の場合は、当然ながら語学力の向上が多くの人にとって最大の目的でしょう。
ですので、まずは、語学力の向上という観点で、どちらがよりよいか検討すべきです。
その観点でいうと、ホームステイと寮との大きな違いは、一緒に暮らす人の種類です。
一緒に暮らす人々が、主なコミュニケーションの相手、言い換えれば、英会話のスキルを磨く練習相手となります。
ホームステイの場合はホストファミリー、寮の場合は同じ立場の学生同士が会話の相手となります。
ネイティブスピーカーのホストファミリーと、ネイティブスピーカーでない寮生という比較で言うと、ホストファミリーの方に分があるように思われますが、実は、ホストファミリーがネイティブスピーカーとは限りません。
アメリカにはヒスパニック系のホストファミリーも多く、彼らの家族間の会話は通常スペイン語で行われます。
また、ネイティブスピーカーであっても、生活時間帯が異なり、あまり話す機会がないということも、ままあることです。
ですので、ネイティブスピーカーであることを目当てにホームステイを選択する場合は、後でがっかりしないように、ホストファミリー選びを慎重に行うべきです(ホストファミリーの選び方については後述)。
さらにいうと、ネイティブスピーカーであるかどうかには、それほどこだわらなくてもよいでしょう。
英語を話す相手でなければ意味がないので、前述のようなスペイン語しか話さないホストファミリーは論外ですが、綺麗な発音よりも、会話の機会を重視した方がよいとでしょう。
日本語で日本人と会話する場合でも、話が弾む相手と弾まない相手がいますよね。
それは、英語でも同じです。
気の合う相手と話した方が、話が弾み、会話する機会が増えます。
折角留学しても、ホストファミリーと気が合わず、自分の部屋にこもってしまうケースがよくあります。
そうならないためには、ホームステイと寮のどちらの方が、自分にとって会話の機会が多くなりそうか、見極める必要があります。
年上や子供相手の方が話やすいのならばホームステイが良いでしょうし、同年代の方が話やすいのならば寮がよいでしょう。
また、寮の場合は、一人部屋がある寮もありますが、基本は相部屋で、部屋にいるだけで必然的にコミュニケーションが生じます。
また、通常、寮には共同キッチン、カフェテリアやラウンジがあり、別の部屋の留学生とも自然と交流できるようになっています。
ホームステイの場合の一人部屋が用意されているので、この点が、寮とは事情が異なります。
そして、ホームステイの場合は、家族は数人程度なので、気の合う人が見つからない可能性もありますが、寮の場合は、人数が多いので、確率論的に、ホームステイの場合よりも気の合う人が見つかる可能性が高いです。
しかし、ホームステイの場合は、ホストファミリーの方から気にかけて話しかけてくれるケースが多いのに対し、寮の場合は対等な立場なので、受け身でいると、あまり仲良くなれないでしょう。
(2)安全性の観点からのホームステイと寮との比較
ホームステイや寮で問題になるのは、性被害と盗難です。
性被害については、ホームステイでも寮でも年に数件は日本人女性が性被害の遭う事件は発生していますが、ホームステイ先や寮でこのような被害に遭うことは稀で、バーに出かけた際等、外で被害に遭うことの圧倒的に多いです。
性被害に遭わないためには、ホームステイか寮かよりも、泥酔しない等、隙を作らなことが重要です。
盗難については、寮の方がトラブルは多いでしょう。
貴重品はスーツケース入れて三重にロックしておくとよいでしょう(スーツケース付属の鍵に加えて、南京錠を掛け、さらに自転車用のチェーンロック等でベッドの支柱等と固定)。
(3)異文化体験の観点からのホームステイと寮との比較
現地の文化を体験したいならホームステイ、現地文化に限らず世界各地からの留学生との交流を通してグローバルな異文化体験をしたいなら寮がおすすめです。
(4)快適さの観点からのホームステイと寮との比較
ホームステイでは、通常、朝と夜の2食付きで、さらに希望に応じて弁当をつけられる場合もあります。
寮の場合は、大学の寮ならカフェテリアがあって、そこで食事を作ってもらえますが、民間寮だと共同キッチンを利用して自分たちで料理しなければなりません。
また、ホームステイは一人部屋なので、プライバシーの点からも快適さは寮よりも上です。
集中して勉強したい時にも、一人部屋の方がよいでしょう。
(5)交通の便の観点からのホームステイと寮との比較
交通の便の観点から比べると、寮に分があります。
寮は、学校と併設されていたり、そうでなくとも近い場所にあることがほとんどです。
また、学校自体も比較的交通の便の良い場所にあることが多いです。
対して、ホームステイの場合は、中心部から離れていることが多いです。
(6)費用面からのホームステイと寮との比較
寮は、一人部屋か相部屋かで大きく料金が異なります。
当然、一人部屋の方が高いです。
ホームステイと比べた場合、一般的には、最も高いのが寮の一人部屋、次いでホームステイ、最も安いのが寮の相部屋となります。
金額は、地価に左右されるので、大都市部と田舎とでは大きく異なりますが、大まかに言って、4週間で13万円~20万円くらいになります。
これに加えて、繁忙期は料金が1割ほどプラスされることが多いです。
繁忙期はアメリカの場合は、通常、6月下旬~8月下旬と、稀に年末年始も料金がプラスされることもあります。
このホームステイの費用の加えて、ホストファミリーの斡旋を受ける場合は、1万円~3万円の手数料が必要になります。
なお、寮との料金比較を行う場合は、食費と交通費を加味して計算するようにしましょう。
寮は食事が付いてないことがありますし、ホームステイは学校までの遠く、交通費がかかることがあります。
ホームステイ先の探し方
ホームステイ先の探し方には、留学先の学校(又は留学エージェント)に斡旋してもらうか、自分で探すかの2つのパターンがあります。
学校によっては、ホームステイが必須パックになっていて、自分で探すことが許されない場合もあります。
(1)斡旋を受けるメリットと自分で手配するデメリット
斡旋を受けるメリットは、次の2点です。
- 手間がかからない
- トラブルが起きた時に対処してもらえることがある
自分で手配すると、ホストファミリー選びから、料金や条件の確認と交渉、トラブル対応等、すべて自分で行わなければなりません。
また、ホームステイ開始後に、ホストファミリーを変更したい場合、若干気まずい交渉になりますが、このようなケースも斡旋を受けた場合は間に入ってもらえますが、自分で手配した場合は、やはり、このような交渉もすべて自分で行わなければなりません。
初めての留学であれば、斡旋を受けた方が無難ではあります。
(2)斡旋を受けるデメリットと自分で手配するメリット
斡旋を受けるデメリットは、次の3点です。
- 費用が余計にかかる
- ホストファミリーを選べない
- 社会経験や英語の練習にならない
他方、自分で手配するメリットはその逆で、次のようになります。
- 余計な費用がかからない
- ホストファミリーを選べる
- 社会経験や英語の練習になる
以下、ひとつずつ説明してきます。
(3)斡旋の費用
斡旋の費用は、斡旋した学校(又は会社)が乗せる手数料の分だけ割高になります。
手数料は一律ではありませんが、目安としては、基本紹介料が3万円、月々の管理費が2000円~3000円ぐらいです。
ホームステイ開始後、ホームステイ先を変更したい場合は、基本的に変更を受け付けないところや、改めて紹介料が必要なところもあれば、追加料金なく別のホームステイを紹介してもらえるところもあります。
契約前に、開始後にホームステイ先の変更が可能かどうか、その場合の追加料金の要否等を確認しておきましょう。
自分で手配すると、このような手数料が不要であるというメリットがあります。
(4)ホストファミリーを選べるかどうか
斡旋してもらう場合、どのようなホストファミリーがよいか、希望を伝えることができます。
しかし、希望通りのホストファミリーに当たらないことも多いようです。
渡航前に希望通りでないことが知らされることもありますが、現地に行って初めて話と違うことに気付かされることもあります。
気になる点は、事前に確認するようにしましょう。
自分で手配する場合は、「homestay bay」のようなマッチングサイトを利用します。
条件を設定して、条件に合ったホストファミリーを検索することができます。
また、自分のプロフィールや希望する条件を登録しておくと、ホストファミリーの方からオファーをもらうこともできます。
(5)社会経験や英語の練習になるかどうか
ホストファミリーとの交渉ややり取りは、よい社会経験や英語の練習になります。
日本人は、「No」と言うことや交渉することが苦手な人が多いので、苦手意識を克服する意味でも自分で手配してみることは意味があるでしょう。
まとめ
以上、留学を成功させるために知っておくべきホームステイに関する3つのことを説明しました。
復習のため、まとめると以下のようになります。
- ホームステイは留学のための手段のひとつ
- 寮という選択肢もあるので、自分が何を重視するのかを整理したうえで、どちらがよいか決めるとよい
- ホストファミリーを探すには、斡旋を受ける方法と、マッチングサイト等を利用して自分で手配する方法がある
この記事が、あなたの留学成功の一助となれば幸いです。
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