※本記事は三枝由香利が監修しています。
大学留学を成功させるためには、どの大学でもよいわけではありません。
一口に留学と言っても、実に様々な留学制度があります。
まずは、留学のメリットとデメリットを把握し、留学の目的を明確にする必要があります。
そのうえで、目的を達せるために、どの大学にどのような制度で、いつ留学するのがベストなのか、慎重に検討する必要があります。
以下では、大学留学を成功させるために絶対に知っておくべき4つのことを説明します。
この記事が、あなたの大学留学を成功に導くための手助けになれば幸いです。
大学留学のメリットとデメリット
大学留学には、メリットとデメリットがあります。
それぞれを比較衡量して、留学するかどうか、また、どのような留学をするかを検討するとよいでしょう。
(1)大学留学のメリット
大学留学には次のようなメリットがあります。
- 視野が広がる
- 価値観や考え方が変わる
- 国際感覚が身につく
- 語学力が身につく
- 海外に友人ができる
- 就職に有利になる
(2)大学留学のデメリット、リスク
一方、次のようなデメリットやリスクもあります。
- お金がかかる
- 単位の取得が難しい
- 卒業、就職が遅れる可能性がある
- ホームシック、孤独感からくる精神疾患
- 医療の質や治安等の生活への不安
- 食べ物が口に合わない
大学留学の制度・方法
一口に大学留学と言っても、次に示すように実に様々な制度・方法があります。
- 海外の大学への進学
- 3年次からの編入学
- ダブルディグリープログラム、ジョイントディグリープログラム
- 交換留学・奨学金留学
- 私費留学(単位認定)
- 休学留学
- 休暇期間を利用しての短期留学
以下、それぞれについて説明していきます。
(1)海外の大学への進学
この方法は、最も正規の留学と言えるでしょう。
高校を卒業後、国内の大学に進学する代わりに、海外の大学に進学し、そこで4年間学び、学位を取得するというものです。
4年間みっちりと学べるので、その分、大きな経験を得ることができるでしょう。
北米の大学には、4年制と2年制とがあります。
2年制大学には、4年制大学への編入を目指すコースと、職業に直結したスキルを学ぶコースがあります。
まずは比較的容易な2年制大学の前者のコースに入学し、卒業後の4年制大学への編入を目指す方法もあります。
4年制大学では、入学後の2年間で一般教養を学び、その後の2年間で専門課程を学びます。
また、北米の大学には条件付き入学という制度もあります。
これは、英語力が合格基準を満たしていなくても、学力等の英語力以外の面が基準を満たしていれば、入学までの間に英語力を向上させて基準をクリアすることを条件にする制度です。
入学までの期間は、留学先の大学の英語コースで勉強する方法と、日本で勉強する方法が選べます。
費用面では、日本で勉強した方が安上がりですが、やはり、英語漬けの環境に身を置いた方が勉強の効率は良いでしょう。
北米の大学の入学は8月下旬~9月などで、日本の高校を卒業して5か月ほど猶予があります。
その間に英語力の基準を満たせなければ入学することはできません。
この条件付き入学の制度は、4年制大学と2年制大学のいずれでも存在します。
イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等では、条件付き入学に似た制度として、ファウンデーションコースがあります。
ファウンデーションコースとは、留学生向けの大学進学準備コースのことで、9か月~1年間かけて、論文の書き方等のカレッジスキル等を学ぶとともに、英語力を高めます。
留学生には、このファウンデーションコースの履修が義務付けられています。
イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等の大学は、基本的に3年制で、入学後すぐに専門課程に入ります。
ファウンデーションコースと合わせても4年間で卒業することができます。
また、国内の大学を卒業後、海外の大学に入学することも可能で、このような学士取得後の入学のことを学士入学といい、そうして取得された学位は、第二学士号(second bachelor’s degree)といいます。
学士入学は、1年次から入学することも3年次から編入学することも可能ですが、北米では学士入学を認めていない大学も多く、学士入学を検討する際は、志望大学に問い合わせて確認しましょう。
もっとも、学士を持っていれば、大学院に留学することができます。
大学院の方が学ぶ内容も高度ですし、その後のキャリアにも有利になるでしょうから、学士入学よりも大学院での留学を検討した方がよいでしょう。
(2)3年次からの編入学
国内の大学に2年行った後に、海外の大学の3年次から編入学することも可能です。
編入学の制度がある大学とない大学があるので、志望大学に編入学の制度があるかどうか、大学の公式サイト等で確認か、載っていなければ大学に問い合わせて確認しましょう。
編入学の制度があっても、編入学が認められるためには、所定の単位数を取得済みであることが条件になります。
日本の大学で取得した単位がどこまで認められるかは、その大学の判断によります。
(3)ダブルディグリープログラム、ジョイントディグリープログラム
ダブルディグリープログラムとは、連携する大学間で開設された共同プログラムを修了した際に、各大学がそれぞれ学位を授与するプログラムです。
ですので、国内の大学に入学し、海外の大学とのダブルディグリープログラムを終了すると、国内の大学と海外の大学と2つの学位を取得することができます。
ジョイントディグリープログラムはとは、連携する大学間で開設された共同プログラムを終了した際に、複数の大学が共同で一つの学位を授与するプログラムです。
いずれのプログラムも、開設している大学は多くはありませんが、自分の通学している大学が、これらのプログラムを開設している場合は、検討してみてもよいでしょう。
(4)交換留学・奨学金留学
国内の大学の多くは、海外の大学と提携して、交換留学制度を開設しています。
交換留学は、提携する大学間で互いに留学生を派遣し合う制度です。
大学の公式のプログラムなので、大学を休学せずに留学することができ、留学先で取得した単位の多くは在籍する大学の卒業に必要な単位として認定されるでしょう。
多くの大学では単位認定は科目ごとに教授会で決すると規定されていますが、交換留学は、大学の公式のプログラムなので、大学を介さずに行う留学よりも単位認定がされやすいでしょう。
交換留学の留学費用は大学が負担してくれますが、在籍する大学の学費は、留学期間も納めなければなりません。
なお、交換留学では留学先の学位は取得できません。
交換留学以外にも、奨学金によって留学の費用の全部または一部を補うことが可能です。
利用できる奨学金は在籍する大学によって異なるので、在籍する大学に問い合わせるとよいでしょう。
通常は、大学のウェブサイトや大学が発行する留学の手引き等に掲載されています。
また、外国政府等が実施する奨学金もあり、日本学生支援機構のウェブページに掲載されているので、留学したい国の実施する奨学金を確認しておきましょう。
留学奨学金は、学位取得を目的とするものと、学位取得を目的としないものの両方があります。
(5)私費留学(単位認定)
交換留学や奨学金留学の選に漏れたり、行きたい大学にこれらの制度がない場合、私費で留学することになります。
交換留学や奨学金の場合のような制約がないため、私費で留学する場合は自分で好きな大学を選ぶことができます(奨学金留学も制約がほとんどないものもありますが)。
大学の探し方が分からない場合は、大学の留学窓口や留学経験のある教授や先輩に相談するとよいでしょう。
留学エージェントという留学相談に応じてくれる民間の代理店もありますが(多くは有料)、エージェントは、語学学校の斡旋に主軸をおいていて、カウンセラーが大学留学の経験や知識がないことが多いです。
私費留学でも留学先で取得した単位が卒業に必要な単位として認定されることがあります。
留学前に申請が必要になるので、大学に確認しましょう。
なお、私費留学の場合、在籍する大学の学費に重ねて留学費用がかかるので、経済的な負担が大きくなります。
(6)休学留学
大学を休学して留学する休学留学の場合、休学中の学費が減免されるので、その分、休学せずに留学するよりも経済的な負担が減ります。
しかし、休学しての留学は、基本的には、その分、卒業が遅れてしまうことになるでしょう。
その点のルールを大学に事前に確認しておきましょう。
基本的には単位認定は諦めることになりますが、その代わりに、留学時の科目を完全に自由に選ぶことができます(単位認定される科目を選ぼうという制約から解放されるため)。
(7)休暇期間を利用しての短期留学
夏休み、年末年始、春休み等の大学が休みに入る期間を利用して、短期留学する方法もあります。
短期留学というと、語学学校への語学留学を想像しがちですが、短期留学でも大学の講義を受けることは可能です。
大学内の語学学校ではなく、大学の選目科目も受講することができる留学もあるのです。
ただし、このような短期の正規留学は、広く門戸が開放されているものは少なく、提携関係のある大学の学生に向けに募集されています。
また、短期留学でも2~4単位の取得が認められている大学もあります。
自分の在籍する大学の留学窓口に確認してみるとよいでしょう。
大学留学のための対策
大学留学を実現するためには、審査や試験に合格しなければなりません。
合格するためには、次の点が重要です。
- 学校の成績
- 試験の成績
- 出願書類の出来
- 英語力
アメリカの大学に進学する場合は、SATという大学進学適性試験を受けなければなりません。
この試験で良い点数を取ることが合格への近道です。
SATはCritical Reading、Writing、Mathの3科目で行われます。
問題集や参考書を購入して十分に対策しておきましょう。
120~130時間はSAT対策にかけるようにしましょう。
また、出願には、願書、エッセイ、推薦状等が必要です。
エッセイはとても重要なので、留学経験のある先生や先輩に添削してもらい、最高のものを仕上げましょう。
一人ではなく、複数の人に添削してもらうようにしましょう。
英語力については、前述のファウンデーションコースや条件付き入学制度もあるので、留学してから頑張るという途もないわけではありませんが、出願前にTOEFLの点数をできるだけ上げておくことで、留学先の選択肢は広がるでしょう。
大学留学の費用
大学留学にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
(1)留学費用の概算
大学留学には次のような費用がかかります。
- 学費
- 教材費
- 宿泊費
- 食費
- 交通費
- 保険料
- 渡航費
- ビザ申請費用、パスポート申請費用
- Wifi料金
- 交遊費
これらを合計すると年間でおよそ200万円~600万円ぐらい必要になります。
学費は、大学によって異なりますが、欧米の大学では、日本よりも学費が高い傾向にあります。
学費だけで年間100万円~400万円ぐらいかかります。
なお、学費が安いのは2年制大学で、4年制大学の学費は最低でも年間200万円はします。
(2)留学の費用を安く抑える方法
留学費用を安く抑えるには、次のような方法があります。
- 奨学金をもらう
- 学費の安い大学を選ぶ
- 2年制大学から編入学する
- 物価の安い田舎の大学を選ぶ
基本的には、奨学金をもらってお金の問題を解決することが最も理想的です。
どこに留学するかによって、人生を左右することもあり得るわけですから、学費と物価の観点から大学選びをすることは、できれば避けたいところです。
また、4年間留学する場合は、学費の安い2年制大学から編入することで学費を抑えることが可能です。
なお、日本にいる間はアルバイトをして学費や生活費の足しにしているでしょうけども、留学中はビザの関係上、アルバイトをすることは難しいでしょう。
まとめ
以上、大学留学を成功させるために絶対に知っておくべきことについて説明しました。
まとめると次のようになります。
- 大学留学のメリットとデメリットを把握する
- 何のために留学するのか、目的を明確にする
- 大学留学の制度と方法について把握する
- 留学の目的を達成するために、どの制度で、どの大学に、いつ留学することが最適なのかを考える
- 出願書類やSAT対策、TOEFL対策等、必要な準備を十分にしておく
- 大学留学の費用について把握し、奨学金の申請や渡航前にアルバイトで貯金する等の費用の捻出のために準備する
この記事があなたの大学留学を成功に導くための手助けとなれば幸いです。
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