※本記事は三枝由香利が監修しています。
近年、経済や産業、学術、スポーツ等、あらゆる分野でグローバル化が進み、世界の共通語である英語を習得することの重要性が高まっています。
今の子供たちが大人になる頃には、一層、英語の重要性が高まることが予想され、子を持つ親としては、我が子には英語で躓いてほしくない、または、バイリンガルになり世界を股に掛けて活躍してほしいと考えることは当然のことです。
この記事では、そのような親御さんが知っておくべきことについて、分かりやすくまとめました。
お子さんの輝かしい将来のために、是非、参考にしてください。
幼いうちから英語教育を施すべきか?
そもそも、幼いうちから英語教育を施すべきなのでしょうか?
子供に英語教育を施すメリットとデメリットを紹介します。
(1)子供に英語教育を施すメリット
子供に英語教育を施すメリットとして次のような点が挙げられます。
- ネイティブ並みのリスニング能力と発音を習得できる
- 日本語を経由せずに英語を直接理解することができるようになり、高い英語力を獲得できる
- 多様な価値観や考え方をもつ外国人と、幼い頃からコミュニケーションの機会を持つことで、視野が広がり、国際感覚が身につく
- 他の子ができないことをできることで、自信がつく
(2)子供に英語教育を施すデメリット
他方、子供に英語教育を施すデメリットについてですが、バイリンガルを目指して相当な教育を施した場合と、英語で躓かないようにと最低限の教育を施した場合とに分けて説明します。
まず、バイリンガル教育を施した場合のデメリットとして次のような点が挙げられます。
- 日本語の学習が疎かになってしまうおそれがある
- インターナショナルスクール等の欧米文化で育つと日本の常識が身につかないかもしれない
- 英語が理解できずつらい思いをすると、英語に対する苦手意識を持ったり英語嫌いになったりするおそれがある
- お金がかかる(年間100万円以上)
一方、最低限の教育を施した場合のデメリットは、費用がかかるというぐらいしか特段ありません。
費用も英会話教室に週に1回行く程度あれば、それほど大きな金額になりません。
ただ、効果がほとんど感じられないという結果に終わる可能性はあります。
いつから、どのようにすれば、バイリンガルになれるのか
前述のメリットに挙げたような効果が得られれば、確かに、子供に英語教育を施す意義は大きいでしょう。
しかし、本当にこのような大きな効果を得られるのでしょうか?
また、どのようにすれば、このような効果を得られるのでしょうか?
まず、幼いうちからバイリンガルにするためには、日本語と英語、それぞれにどっぷりと漬かる環境に身を置かなければなりません。
つまり、家庭とプリスクールで、どちらかが日本語でどちらかが英語になるようにします。
家庭を英語環境にするのは、両親の少なくともいずれかが英語のネイティブスピーカーである必要があります。
両親が日本人の場合は、家庭が日本語環境になるので、英語保育のプリスクールを選ばなければなりません。
日本の英語保育園の多くは、ネイティブスピーカーの保育士はあまりいないということと、子供同士も日本語で会話していまうという、2つの問題を抱えています。
保育士さんのほとんどがネイティブスピーカーかネイティブと同等のバイリンガルレベルで、子供同士も英語で会話する保育園でなければ、あまり意味はないでしょう。
また、英語保育の保育園の多くは、ビルの一室でやっていて園庭がなかったりと英語以外の面でも不安があります。
インターナショナルスクールのプリスクールであれば申し分ないでしょうが、しっかりしたところは費用も年間100万円以上という場合がざらですし、また、親や少なくともどちらかが英語が話せないと入れてもらえません。
また、子供は覚えるのも早いですが、忘れるのも早いので、プリスクールで英語にどっぷりと漬かって英語がペラペラだったとしても、小学校に入って英語から遠ざかると英語をすっかり忘れてしまいます。
日本にいながらバイリンガルに育てるためには、プリスクールからインターナショナルスクールに入って、継続して英語に浸り続けなければなりません。
このように考えると、英語がそれほど堪能でない日本人の両親を持つ子供が、日本で育って、幼い頃からバイリンガルになるのは、かなり難しいことがわかります。
しかし、バイリンガルになれなくても子供のうちから英語教育を施すことは、後に本格的に英語を学習する際に、アドバンテージになりえます。
子供の英語教育はいつから始めるべきか
それでは、子供の英語教育はいつから始めるべきでしょうか?
バリバリのバイリンガルを目指すなら、生後半年頃から始めるべきですが、前述のとおり、その場合は、ご両親の少なくともどちらかが英語のネイティブスピーカーであるような場合です。
そうでない場合は、幼い頃からバリバリのバイリンガルになることは難しいので、ある程度の英語の下地を作ってあげることを目標に英語教育を行うとよいでしょう。
その場合、特段、いつまでに英語教育を始めなければならないという基準はありませんが、早くから取り掛かかるに越したことはありません。
もっとも、取り掛かるのが遅くなったからと言って諦める必要も焦る必要もありません。
年齢に応じた適切な方法で英語に親しんでいくことが重要です。
英語教育というと、何か単語を覚えるというようなことを想像する人がいますが、幼い子供にとっては英語に親しむだけでも十分です。
子供の英語教育のポイント
それでは、どのような方法で英語に親しんで行けばよいでしょうか?
(1)DVDを見せるだけで英語を覚えることはない
たまに乳児期から英語のDVDを見せているという人がいますが、DVDを見ても乳児期の子供の脳の刺激は入ってきません。
乳児は自分の顔に脳が反応するので、顔を見ながら話しかけてあげることが重要です。
それでは、話しかけるのは、英語があまり話せない親でもよいのでしょうか?
できれば、英語のネイティブスピーカーかそれに近いくらいのレベルの人の方が効果的です。
子供相手なので、大して英語の話せない自分で十分と思うかもしれませんが、それは間違っています。
確かに、大して英語が話せなくても、「apple」が「りんご」だということを教えることはできます。
しかし、単語の意味を教えることには何の意味もないのです。
単語の意味を覚えるのは、子供よりも大人の方が得意です。
幼児期にやるべきこと、幼児期にしかできなことは、聞き取りと発音、それから英語を日本語を経由せずにそのまま理解することです。
LとRの聞き分け等、リスニングの能力は歳を重ねてから始めるほど難しくなります。
そして、聞き分けができると、正確な発音にもつながります。
このような能力は乳幼児期にしかないものですので、英語の音に親しむことこそ、早くから始める最大のメリットなのです。
大人が英語を学習する場合、日本語に無い音の聞き分けを習得することは極めて難しくなり、習得には乳幼児の数倍~数十倍の時間が必要になります。
ですので、大人の場合は、通常、細かな聞き分けは諦めて、前後の文脈からLなのかRなのかを判断する能力を養っていくことになり、レッスンの相手は必ずしもネイティブスピーカーにこだわらなくてもよいのです。
しかし、子供の場合は、日本語に無い音の聞き分けの能力を習得することが可能ですので、ネイティブスピーカーの発音に親しんだ方がよいのです。
ですので、乳児は、乳児の機嫌の良い時に、ネイティブスピーカーが優しく話しかけたり、歌や手拍子などを組み入れつつ、英語の音に親しませることが重要です。
機嫌が悪い時に無理してやっても効果は期待できません。
(2)ネイティブと接する環境を用意する手段
それでは、そのようなネイティブスピーカーと接する環境をどのように確保すればよいのでしょうか?
次の3つの選択肢があります。
- ネイティブスピーカーのベビーシッターを雇う
- ネイティブスピーカーの保育園に預ける
- 英語教室に通う
以下、それぞれについて説明します。
①ベビーシッター
ベビーシッターについては、つてがなければ、英語を話せる外国人のベビーシッターを斡旋している会社があるので、そのような会社を利用するとよいでしょう。
ただ、シッターは、フィリピン出身者等、英語のネイティブスピーカーでないことが多いので、その点は妥協することになります。
もっとも、フィリピンの方は、ネイティブスピーカーではありませんが、ネイティブに近い発音をできる人も多くいますし、性格的に明るい方が多く子供と接するのがうまいという利点があります。
費用面でも、ネイティブ限定で探すよりも安く済むことが多いでしょうから、メリットとデメリットを比較して検討するとよいでしょう。
もう一つ頭に留めておかなければならないことがあります。
それは、ベビーシッターは英語の先生ではないということです。
ベビーシッターの仕事は、子供を預かる間、問題なく過ごすことであって、子供の英語力を高めることではありません。
積極的に話しかけることを求めることはできますが、実際に子供と積極的にコミュニケーションをとってくれるかは、シッター次第ということになります。
②保育園
次に、保育園についてですが、英語教育の面では最も優れた選択肢としては、前述の通り、インターナショナルスクールのプリスクールに入れることですが、年間100万円以上のお金がかかりますが、ほとんどの人にとっては難しいでしょう。
安価な多くの英語保育の保育園では、園庭がないか、あっても狭いという英語以外の面の問題があります。
英語とは関係ありませんが、英語だけできればそれでよいというわけではないでしょうから、この点ついて、少し説明します。
乳児の場合は、走り回ることができないので、園庭の問題は気にする必要はありませんが、走り回る月齢に達すると、園庭がないことは、運動能力は勿論、間接的には情操教育にも影響します。
園庭を持っていなくても、近くの公園に連れて行って遊ばせる措置をとっている保育園は数多くありますが、園庭は幼児が遊ぶことに特化しており、また、部外者もいないので、園児は自由に遊ぶことができますが、公園は幼児にとって危険なものもあり、また、不特定多数の人が利用する場所なので、園児が自由に遊ぶことができません。
英語保育の保育園を検討する際に、当然、園内を見学させてもらうと思いますが、その時に、公園等に遊ばせに行くことがあるかどうかと、ある場合はその時間帯を確認しておき、後で公園で遊ぶ様子を見に行き、保育園選びの参考にするとよいでしょう。
なお、英語保育でもベビーシッターの項目で述べたのと同様の保育士がネイティブではない問題がありますが、この点については、予算の中でより良いところ探すとよいでしょう。
また、一口に英語保育と言っても、英語を含め、子供の能力を高めることに重点を置いているところもあれば、単に英語を使うというだけで、取り立て子供の能力を高めようというプログラムがないところもあります。
後者の場合でも、ウェブサイト上では、能力を高めるというようなことを打ち出しているケースもあり、ウェブだけの情報では、判断がつきにくい面があります。
この点も実際に見学し、質問をして、見極めていくとよいでしょう。
③英会話教室
最後に英会話教室についてですが、どのような英語教室、教師がよいのかは、年齢によって異なります。
日本語の習得レベルによって、日本語で英語を教えたほうがよいのか、英語で教えた方がよいのかが異なってきます。
シッターや保育園の場合は、毎日長時間、英語漬けにすることが可能なので、年齢が進んでも、英語のみで英語を覚えることが可能ですが、英語教室の場合は時間が短いので、ある程度の年齢に達して日本語を理解する子供に対して英語だけで英語を教えることは非効率になるのです。
ですので、0歳~1歳はネイティブ、2歳以上は日本語のできる先生の方がよいかもしれません。
もっとも、日本語の習得スピードには個人差がありますし、どのくらいの頻度でレッスンを受けられるかにもよるので一概にはいえないことをお含みおきください。
まとめ
以上、子供が英語を得意になるために親が絶対に知っておくべき4つのことについて説明しました。
まとめると、以下のようになります。
- 英語を話せない両親をもつ子供が、日本にいながらバイリンガルになることは極めて難しい
- しかし、幼い頃から英語に親しむことは、英語を本格的に学習する時期になった時に、大きなアドバンテージになる
- 乳幼児には、DVD等の動画学習だけでは効果が薄く、人(特にネイティブスピーカー)を通して英語に親しむべき
- 手段としては、ネイティブのベビーシッターを雇う、英語保育の保育園に入れる、英会話教室に通うの3つが挙げられる
この記事が、あなたのお子さんが英語を得意になるための参考になれば幸いです。
コメントを残す